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「『再エネ大国 日本』への挑戦」_1

林業の再生

これまでの林業はユーザーとのつながりがなかったんです。木を伐って原木を出すわけで、木を伐った人が、自分の木が最終的にどういう使われ方をしたのかわからないというのがこの業界の常識なんですけど、私たちはそこをつなげることにしました。エンドユーザーからしても、この木はどこから来た木なんだと、誰が育てた木なのかがわかるようになっています。山からエンドユーザーまでつなげることが、新しい価値を生むのです。

岡山県西粟倉村の木薫という企業では、職員が自分の手で作った製品を自分たちで運び、購入してくれた方に直接手渡しするという仕組みを導入しています。この仕組みによって、エンドユーザーはどういった人が作ってくれたものなのかを知ることができ、販売者はユーザーの喜ぶ顔に触れられることで、お互いに満足感の高い取引ができるようになったと言います。そこに新しい価値が生まれたのだと。

近年は、都市部への人口集中が進み、林業などに携わる人口が減ってしまいました。木材などについても輸入品が増え、林業は衰退の一途をたどっています。日本の山の多くは放置され、手入れの行き届かない山ではがけ崩れなど言った問題も目立ってきています。
そういった林業を復活させるために、こういったビジネスが始められました。聞いてしまえば、特別目新しいことを始めたわけではないかもしれませんが、林業の需要を増やし、新しい価値を創造しているのです。
日本の木材を使った商品は、大量生産されるものと比べると割高になってしまう。しかしながら、オーダーメイドで、どんな人が作ったのかを感じられる商品には、値段以上の価値があるのです。生産ラインに乗せられて、大量生産された商品にはない、ストーリーが込められているのです。
ものに溢れる現代において、求められるのは安さだけではない。その商品にどんな物語が詰まっているのか、そこに需要があるのです。その商品を通して、社会をどうしていきたいのか、そこに価値があるのです。

地方の過疎化が進み、山が荒れていく。きれいに保たれていた自然が失われていく。
木薫は、単に木から作られた椅子やテーブルを売っている訳ではないのです。林業を再生させ、地方を活性化し、きれいな自然を守っていくという価値を売っているのです。大量生産されるものでは、絶対に提供することのできない価値を生み出しているのです。

放っておけば山はどんどん劣化します。しかし、植えて成長した分をどんどん使いながら次を植える、この循環が起きれば、山は永遠にちゃんと価値を生む、宝の山になると思います。

自然とともに生きていく。
新しいものを生み出すのではなくて、今あるリソースをどうやって使っていけばいいのか。
そういった視点が大切なのかもしれません。

まとめ

今回は、宮古島の太陽光発電とEVの取り組み、西粟倉村の林業再生の取り組みをピックアップさせて頂きました。かなり省略してしまったため、少しわかりづらいかもしれません。ぜひ本書を手に取って実際の取り組みに触れてみてください。
本書では、地熱発電の事例(福島県)、水力発電の事例(岐阜県)、林業の事例(岡山県)、バイオマス発電の事例(岡山県)、太陽光発電の事例(沖縄県)、天然ガスの事例(千葉県)の6つの事例を紹介してくれています。どれも非常に参考になると思います。

830の感想としては、地方ではこれだけ再エネの利用がうまくいっているのだなと感心しました。地方レベルであれば、スピード感をもって挑戦をしていくことができると思いますし、こういった成功体験を周知していくことで、より多くの地域で再エネの取り組みが進んでいってくれればいいなと考えています
エネルギー自給率といった環境に関する問題は、国家レベルでしか対応できないトップダウンな問題ではなくなっているのです。太陽光発電などの技術革新によって、ボトムアップ的にアプローチできる問題になってきている。各個人が、各団体が、自分たちのできる範囲から小さく始めていけば、最終的に日本全体のエネルギー自給率が改善されていくのかもしれません。
国民一人一人が環境問題に対して知識を身に付け、関心を持っていくことが大切なのだと思います。この記事がその一助となれば幸いです。


あとがき

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
本記事はあくまで830の主観を織り交ぜた上で、書籍の紹介をさせて頂いております。書籍との食い違いが生じてしまっている場合もございます。ご理解頂けますと幸いです。
正確な情報については、是非原本をご購入の上、お読み頂けますよう宜しくお願い致します。
今後も宜しくお願い致します。