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「世界の再生可能エネルギーと電力システム[経済・政策編]」_2

炭素生産性

国際競争力や経済力の客観指標として、生産性Productivityというものが用いられ、
(生産性) = (産出ouput) / (投入input)で表されます。

outputに付加価値額、inputに労働投入量を代入することで、労働生産性を導くことができます。
(労働生産性) = (付加価値額) / (労働投入量)となります。

一方近年では、inputに炭素投入量を代入することで、炭素生産性Carbon Productivityという指標が利用されています。
(炭素生産性) = (付加価値額) / (炭素投入量)となります。
気候変動対策の観点から、より少ない炭素投入量でより高い付加価値を生み出すことが、中長期的な持続可能な経済成長を促すという「量ではなく質で稼ぐ経済」への転換を測る指標となっています。

単純にGDPを比べると、米国・中国に次ぐ世界3位に位置する日本ですが、労働生産性という観点からみると大きく世界ランクを落とします。単純にたくさん働いているからGDPが高いだけで、何ら優れている訳ではない。
同様に、炭素生産性という指標を見ても、日本は大きく世界ランクを落とします。環境に配慮することなく、工場を動かし続け、エネルギーを貪っているから、高いGDPを維持することができているのです。
ちなみに、米国・中国も同じ結果となっています。

労働生産性や炭素生産性の指標で上位を占めるのはほとんどが欧州の国々です。効率よく仕事を、環境に優しい仕事をする。それが欧州です。
今後、地球温暖化などが深刻化していった時、生き残っていくのはどちらなのでしょうか。国際的に炭素税や排出権取引が行われるようになった時、優位になるのはどちらなのでしょうか。
「地球に優しい」を定量的に評価するのは非常に難しい課題です。しかしながら、先のテーマで述べたような炭素税や本テーマで述べたような炭素生産性は、そういったものの指標になっていくはずです。印象論だけではなく、客観的指標を見ても、日本は変わっていかないといけないということが立場にいることが実感できるのではないでしょうか。
環境問題に対する訴えは、環境フェチのノイジーマイノリティーによる偏った見方ではないのです。客観的事実からも証明されているのです。有力な投資家たちの投資先も、徐々にESG投資に向き始め、世界の流れが「地球に優しい」方向に移っていっているのです。
日本が今後どういった方向に進んでいくべきなのか。何をKPIにしていくべきなのか。興味を持って頂けると幸いです。

まとめ

地球温暖化対策と聞いてもピンとこないかもしれません。地球温暖化対策なんてまどろっこしいと思われるかもしれません。
しかし、国際競争力を落とす日本が、生き残っていくために残された道の一つが、環境問題であると830は考えています。
これまではGDPが最も注目されてきた経済指標でした。だからと言って、これから先もそれが続くとは限りません。GDPで表されなかったものに重きが置かれる世界になれば、GDPなんて意味を成しません。
これまでの常識に囚われていては前に進むことはできません。ゼロベースで現状を見直して、どういった方向に世界が進んでいくのか、今一度考えてみてはいかがでしょうか。


あとがき

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
本記事はあくまで830の主観を織り交ぜた上で、書籍の紹介をさせて頂いております。書籍との食い違いが生じてしまっている場合もございます。ご理解頂けますと幸いです。
正確な情報については、是非原本をご購入の上、お読み頂けますよう宜しくお願い致します。
今後も宜しくお願い致します。