どうしてお金が必要なのでしょうか。それは生きていくためなのではないでしょうか。生きていくためには衣食住が必要になる。どれだけきれいごとを言ったとしても、それは変わらない真実です。
しかし、技術が進歩した現代において、衣食住に必要なコストは大幅に下がっています。多くの人が必要最低限のお金を手に入れられるようになっている。
そうやって現代はこれまでとは違う状況になっています。そんな中で、人びとの行動はどう変わっていくのか。ザッポスの描く未来に触れてみましょう。
- 基本的欲求満たされて、飢えはどこに向かうのか
- アマゾンが買ったもの
- まとめ
基本的欲求が満たされて、飢えはどこに向かうのか
「基本的欲求」が満たされた今、消費者の「飢え」はいったいどこに向かっていくのでしょう?
それは、例えば、ライフスタイルや価値観を共有できる人たちに囲まれている、という帰属意識や、尊重されているという満足感です。また、想像力を発揮できる喜びや達成感、より大きな目標に向かって歩んでいるという使命感などでしょう。
これまでは生きていくためには絶対的にお金が必要だった。だからこそ、お金が欲しいと思う人が多かったし、お金がある人がモテてきたのかもしれません。人間の生存本能に従えば、そうなるでしょう。
しかし、これからの時代は違います。生きていくために必要なお金がほとんどの人が手に入れられる社会になります。そんな時代に必要になるのは、相変わらずお金なのでしょうか。830はそうじゃないと思います。ただ生きていくんじゃなくて、楽しく生きていきたいという欲求が生まれてくるのだと考えています。それは社会貢献することから得られるやりがいかも知れませんし、気の知れた仲間と過ごすかけがえのない時間かも知れません。
これから多くの人が求めるようになるのは、そういった今までは数値化されてこなかった何かなのです。
多くの若者は、「ワークライフバランス」や「給与」といったニンジンをぶら下げても走り出してはくれなくなっています。そんなものよりも、「この会社の事業にはこんな価値があるんだ」というところに耳を傾けます。やりがいのあるところに多くの若者が集まってくる。
普通に生活していると、こんなきれいごとを話す機会なんてないでしょう。気恥ずかしくて言葉にできない人がほとんどです。だから現代社会にはそういう場が足りていない。そういう社会の中で生きてきた今の年配者たちは、「そんなきれいごとだけじゃやって生きてない」と言うことでしょう。
830が会社に入って感じる一番のジェネレーションギャップは、やっぱり熱い思いです。「こんなことがしたい」「こんな夢がある」という熱い思いは、日々薪をくべてやらないと消えてしまう。一度冷め切った思いを燃え上がらせるのは至難の業です。だからこそ、若い時から炎を絶やさないことが何よりも大切だと強く感じます。
熱い思いを絶やさないためにも、夢を語る場を、きれいごとを遠慮せずに話し合える場を大切にしていきましょう。だって、みんなが持っている熱い思いは、決して恥ずべきものではないはずです。きれいごとだけで生きていけばいい。きれいごとだけでやっていけると、830は信じています。
アマゾンが買ったもの
アメリカで著名なマーケティングの大家、セス・ゴーディンは、「ザッポスを買うと何がついてくる?」と題したブログの中で、「アマゾンが8億ドル出して買うのは『オンリー・ワンの企業文化』、『顧客との強い絆』、『卓越したビジネス・モデル』、『伝説的リーダーシップ』である」と書いています。
アマゾンはオンラインショップのトップを走りながらも、ザッポスという新進気鋭の企業に危機を感じ、買収に踏み出します。では、アマゾンはザッポスの何に恐れおののいたのでしょうか。
それが、ザッポスの企業文化・絆・ビジネスモデル・リーダーシップなのです。革新的な技術があったわけではありません。優れた商品を持っていたわけでもありません。しかし、アマゾンはこういった目には見えない無形資産に価値を見出し、買収を行ったのです。この時代の先をいく大胆な戦略ができるからこそ、アマゾンは今もトップを走り続けることができるのでしょう。
ザッポスの「モノではなく、最高のサービスを届ける会社」としての企業文化。そして、それを心の底から受け継いだ社員たちと、最高のサービスを通して関わっきた顧客との間の絆。これは簡単に手に入れることなんてできないかけがえのない資産なのです。
低価格の商品を提供するためにあらゆる作業を自動化し、省略してきたアマゾンが、カスタマーサポートセンターをどこよりも重要なポジションとして考えるザッポスを買収したというのは一見不思議に感じるかもしれません。しかし、それによってアマゾンに足りなかった部分を補うことができたのです。
いまではアマゾンで働くアマゾニアンたちは、「Our Leadership Principle」という14ヶ条を持っています。それはCEOジェフ・ベゾスから一配達員まで全員の心に浸透しているのです。 アマゾンのサービスを使ったことがある人ならば、配達員一人一人のアマゾニアンとしてのプライドを感じることができるでしょう。
アマゾンのザッポス買収からも見て取れるように、これからの時代に必要不可欠なのは企業文化です。そして、それに心から共感し、体現してくれる社員なのです。
高い給与や福利厚生、名声や安定で人を集めているようでは成長していくことはできません。企業文化を打ち出し、自分たちは何を大切にしていて、どんな人材が欲しいのかをオープンに発信すればいい。それに共感してくれる人だけが集まってくれればいい。そうやって同じ方向を向く人々が集まれた時、目指す未来に向けて全員が全力で走り始めることができるのです。
まとめ
まだまだ現代には夢を語る場がありません。ここが社会の問題の根本だと830は考えています。
夢を語ることは何も恥ずかしいことではない。
「あなたの夢は何ですか?」という質問に対して、胸を張って答えられるようになった時、人生はカラフルなっていくでしょう。
企業だって、採用の時は夢を語ればいい。その夢に共感してくれる人だけを集めればいい。同じ方向を向く人たちが集まった時、企業は最高のパフォーマンスを発揮することができるのです。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
本記事はあくまで830の主観を織り交ぜた上で、書籍の紹介をさせて頂いております。書籍との食い違いが生じてしまっている場合もございます。ご理解頂けますと幸いです。
正確な情報については、是非原本を購入の上、ご一読ください。
今後も宜しくお願い致します。