目次
- 独善に気を付ける
- ITによる孤立
- まとめ
独善に気を付ける
もう一つ、付け加えておきたいことは、自分なりの見方が基本となり大切だといっても、狭い独善には気をつけたいということだ。自戒を込めていうのだが、アートを見る眼は自分の見方や評価が中心になるとしても、あまり独善的に過ぎると、いたずらに鑑賞の幅を狭めてしまうリスクがある。あるいは、アートとの出会いが他者への気づきや共感をもたらしてくれるものであるのならば、自分にこだわってばかりいては他者を理解することはできず、実りある遭遇とはならないだろう。
人生を生きていく中で大切なことは、自分がどう感じたかだというお話をしました。しかし、自分がどう感じたかだけでしか物事を考えられない人は弱い。他者の考え方に触れることで、自分の考え方の柔軟性が増して、新たな発想を手に入れることができる、進化していくことができるのです。
何を見ても同じようなものしか考えられないようになってしまっては、それは変化できない人材にすぎない。変化を続けるためには、他者の考え方も理解することが必要です。それを取り入れるかどうかは別として、違う考え方を理解できる能力がなければ、変わっていくことはできないのです。
自分の確固たる軸を持ち、新たな考え方に触れていく。そうすることでピポッドしながら、変化していくことができるのです。それが私たちの目指す姿です。
他者の価値観に触れるためのたたき台としてアートを利用するといいでしょう。一つのアートを見ても、考え方は人それぞれです。自分と違う考えたかの人と議論を交わすことによって、自分の世界観を広げていくことができる。そうして私たちは変わっていくことができるのです。変化に対応していけるようになるのです。