今回は、「不死身の特攻兵」からリーダーの在り方や日本人について考えてみましょう。
- 精神主義に頼るリーダー
- 断れない日本人
- まとめ
精神主義に頼るリーダー
「精神」を語るのは、リーダーとして一番安易な道です。
職場の上司も、学校の先生も、スポーツのコーチも、演劇の演出家も、駄目な人ほど、「心構え」しか語りません。心構え、気迫、やる気は、もちろん大切ですが、それしか語れないということは、リーダーとして中身がないのです。
本当に優れたリーダーは、リアリズムを語ります。現状分析、今必要な技術、敵の状態、対応策など、です。今なにをすべきか、何が必要かを、具体的に語れるのです。
問題解決のステップは、現状分析、課題抽出、解決策提案、そして実行です。あらゆる問題は論理的に解決することができる。リーダーとして人を動かす立場であるのであれば、当然ながら論理的に物事を考えることは不可欠である。
心構え、気迫、やる気といった類のものは、それらをより円滑に進めるために必要なものである。やる気のない人がダラダラと問題解決に取り組むよりも、その問題解決に心から価値を感じている人が積極的に取り組んだ方が効率的である。
しかし、当時の東条首相は精神論だけで特攻を進めたのです。特攻隊に対する「精神で撃ち落とす」という発言は、リーダーとしては愚の骨頂と言わざるを得ません。そして、軍隊の上下関係の中で、「そうだ。気持ちだ、気概だ、気迫だ。」と信じ込まされて特攻に駆り出された人々を、830は痛ましく思わざるを得ないのです。
最近では、「論理的思考よりもデザイン思考だ」ともてはやされますが、論理的思考が基礎にあってのことだということを忘れてはいけない。論理的思考が及第点に達していない人が、デザイン思考だけを身につけたってそれを活かすことはできない。
同様に、論理的思考ができない人に精神論を語る権利はない。
これまでも、そしてこれからも、論理的思考が全ての土台にあるということを改めて確認しておきたい。