今回は前回に引き続き、
「THE TEAM」
について考察していきます。
組織運営に関わる書籍ですが、
本書の考え方を受験に活かしていけないかという方向性で、
考えてみました。
「受験は個人戦ではなく、クラスのチーム戦だ」
という言葉を参考に、
どのように考えれば、
よりモチベーション高く、
勉強していくことができるのかを考えてみました。
是非参考にしてみてください。
問題抽出
まず、
「受験はクラスのチーム戦だ」
という言葉が響かなかった原因を、
ABCDE理論に沿って考えます。
Aim:チームの目標が不明瞭
Boarding:学生がチーム編成に関与できない
Communication:目標のための意思疎通がない
Decision:活動中の意思決定はほとんどない
Engagement:そもそもチームとして協力できていない
Aim
当時の先生の言葉は、
まったくもって目標が不明瞭でした。
「受験はクラスのチーム戦だから、
みんなで協力して切磋琢磨していかないといけない」
と言っていましたが、
クラスの合格率を上げたいのか、
各学生が入学する大学の偏差値を上げたいのか、
定量的な目標も何もありませんでした。
そのため、
クラスを構成する学生たちには、
目標の共通認識はなく、
「チーム」でなく、
いわゆる「グループ」でしかありませんでした。
Boarding
チームであるクラスの構成員は、
教師たちによって決められてしまうため、
学生たちが人員選考に関わることはできませんでした。
チームの成果に大きく関わる、
人員選考に関われないことは、
大きくチームの士気を下げる事が考えられます。
Communication
これは目標設定が曖昧で、
チーム内で共有できていなかったため、
当然ではありますが、
目標達成のための意思疎通は全く行われませんでした。
Decision
受験において、
学生が決断を要求されるのは、
自分の受験校選びのみです。
当然、
日々勉強するのか、しないのか、
ゲームをするのか、テレビを見るのか、
といった些細な決断は求められますが、
特にチームの成果に大きく影響するような決断は、
自分の受験校選びだけだったと思います。
(受験校選びを間違えると、
クラスとしても、個人としても、
合格実績が下がってしまうので、
チームの成果に関わる)
しかしながら、
この決断も誰かと話し合うというよりは、
自分がどこに行きたいかを個人的に決めるというだけで、
意思決定とは呼べません。
つまり、
意思決定はなかったといっても過言ではありません。
Engagement
こちらもCommunicationと同様で、
「チーム」がまだ「グループ」という段階でしかなかったので、
当然ではありますが、
互いの協力はありませんでした。
その他
それ以外にも、
チーム戦を行う上での相手は誰なのか、
チーム戦を行う上での利益と損失は何なのか、
複数の構成員が協力していくためには、
未定義な部分が多すぎます。
これでは、
チームとして受験に挑んでいくのは難しいなと、
言わざるを得ません。
そこで、
それらの問題を解決でき、
さらに楽しみながら勉強していけるような、
ゲーム設定を考えました。
考察では、
そのゲームについて紹介したいと思います。
考察
ゲーム設定
- ゲームに参加する友達5人くらいを集める。
- クラスを5つくらいのチームに分割して、それぞれが一つのチームのリーダーとなる。
- チームメイトの進学先の偏差値の合計が大きい人が勝ち。
- 順位に基づいて、ご褒美・罰ゲームを設定する。
簡単に以上のようなゲームを想定します。
ご褒美は、
べったが1位に何かするでもいいですし、
担任の先生からご褒美をもらうでもいいですし、
何でもいいのですが、
成果報酬がないとうまく回らないと思います。
分析
ABCDE理論に基づいて、
ゲーム設定を考えてみましょう。
Aim。
リーダー全員で、
きちんと意義目標を設定する。
リーダーシップを身に付ける、
クラスメートの勉強意識を高めるなど。
その後、
自分がリーダーを務めるチームの中で、
きちんと成果目標を設定していく。
チーム全員の合計偏差値300、
各個人の偏差値目標60など。
さらに、
いくつか模試を行う中で、
自分たちの位置を確認し、
次はどのように学習を進めていけばいいのか、
PDCAを回していく。
その中で、
今月中にこの問題集を終わらせる、
来月はこの分野を勉強する、
などといった個人レベルの行動目標を立てていく。
こうしていくことで目標を、
クラス全体で共有することができる。
目標はしっかりと言語化して、
みんなが見える形で提示しておくのがいいでしょう。
Boarding。
チーム編成を決める中で、
ドラフトや協議を行う必要があると思いますが、
そこでリーダーは人員選定に関わることができます。
さらに、
四半期や半期といった区切りの場面で、
トレードや総入れ替えといった具合に、
チームの再編成を行う仕組みを加える事で、
人員選定への関わりを大きくできるように、
ゲーム作りを行うといいでしょう。
自分が選んだチームメイトだからこそ、
信頼して、ともに切磋琢磨していけると思います。
Communication。
このゲームをやろうと決めた5人のリーダーは、
このゲームにやる気があると思います。
しかしながら、
ゲームに巻き込まれているほかのクラスメイトは、
大してゲームに興味もないし、
わざわざ目標達成しようと思わない人もいると思います。
そこで大切になるのが意思疎通です。
どのようにそういうチームメイトをやる気にさせ、
ゲーム期間中モチベーションを高めておくのか、
リーダーとして最も大切な素養はここにあると思います。
どれだけ自分の利益と相手の利益を、
同じ方向に向けられるのか。
しっかり勉強すればいい大学に行けるよと言うのか、
ゲームに勝ってもらえるご褒美の何%あげるから頑張ってと言うのか、
チームのために勉強するって良くないと言うのか、
チームメイトごとに対応は異なると思います。
ここが組織運営において、
一番難しくて、一番面白い部分だと思います。
このゲームの醍醐味になるでしょう。
Decision。
チームとして成果を考える時、
自分の結果はチームに影響を与えます。
自分の受験校選びにおいても、
チームメイトとしっかり話し合い、
合意を得た上で意思決定を行っていかないといけません。
同様に、
チームメイトの成果はチームに影響を与えます。
チームの成果を考える立場にある、
チーム構成員は、
自分の受験校選びだけではなく、
チームメイト全員の受験校選びに関わっていく必要があるでしょう。
それぞれの受験校選びにおいて、
チームの合意が必要であり、
たくさんの意思決定を行わないといけません。
人員選定においても、
チームで意思決定を行っていかないといけません。
ゲームを取り入れない場合よりも、
ずっと意思決定の数は増えていくでしょう。
Engagement
Communicationでも述べたように、
チームメイトのモチベーションを高く保つのは非常に難しい。
しっかり相手を分析し、
論理的に考えた上で、
4Pの内どれを提示しながらチームを運営していくのか、
しっかりと考えていく必要があるでしょう。
また、
各リーダーのモチベーションを保つことも非常に大切です。
リーダー同士で、
意識を高め合っていくことが重要でしょう。
その他
この他にも、
相手が明確ではない、
チームの利益・損失が明確でない、
などの問題点を指摘しました。
その点についても、
相手は他チームであり、
利益・損失は5人のリーダーで明確に定める、
といった具合に、
問題点を解消する事ができるでしょう。
まとめ
以上のようなゲームを提案しました。
ただただ目標の大学を目指して、
コツコツ独りで勉強するよりも絶対楽しいと思います。
自分がいい大学に行くためだけではなくて、
チームの成果を上げるために頑張れるという環境は、
自分のモチベーションを高めるのに適していると思います。
独りで勉強を続けられないという人も、
チームメイトが監査役になってくれます。
自分の成績が上がった時に、
他の人が心から喜んでくれたら、
めっちゃうれしくないですか。
逆に、
自分の成績が大したことなくても、
チームメイトの成績が良くなってただけで、
喜べるって幸せだと思うんです。
俺もあいつみたいに頑張ろって。
そうやって、
他者への関わりを太くしていけるように、
環境を整える事で、
人間関係ってよりよくなっていくと思うんです。
そして何より、
リーダーシップを身に付けられると思います。
どのように目標設定をし、
どのように人を動かし、
どのように仕組み設計をしていくのか、
受験勉強以上に学べることが多いと思います。
また、
ゲームを最後まで続けるためには、
リーダーたちのやる気が必要不可欠です。
別にやらされている訳でもなく、
やらなかったからといって大きな問題になる事もありません。
しかし、
自分のため、クラスのためには、
した方がいいと思うから自主的にやる。
世の中の事象ってこういう事ばかりだと思うんです。
お金がもらえるからやるとか、
感謝されたいからやるとかではなくて、
やった方がいいんじゃないと自分が思うからやる。
そういう経験ってなかなかできません。
是非いい機会なので、
受験勉強の一環として、
このゲームを取り入れてみてはいかがでしょうか。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
P.S.
進路調査をする時、
「迷ったら難しい大学を書いておけ」
ってよく言われませんかね。
目標が低いとそこまでしか行かれへん。
高い目標持ってたら、
より高く成長できる的な。
830もそう思うんです。
だけど、ちょっと浅いなと思うんです。
例えば、
MARCHに行きたいですって人が、
東京大学って書いてたとするじゃないですか。
これが一番高い目標やから、
とりあえず一番上目指そうみたいな感じで。
それって本当に一番高い目標なんかなって思うんです。
個人レベルで言ったら、
東京大学目指しますって言ったら、
高い目標かもしれませんけど、
それって自分が勉強すれば行けちゃうんで、
大して難しくないと思うんですよね。
自分に勉強させるってめちゃめちゃ簡単なんですよ。
だって勉強しよって本気で思えば、
勉強するじゃないですか。
他人に勉強させる方が、
ずっと難しいと思うんです。
だって、
こいつに勉強させよって本気で思っても、
そいつが勉強してくれるわけじゃないじゃないですか。
そいつに勉強させるためにはどうすればいいのかって、
考える方がめちゃめちゃ難しいんですよ。
誰かに何かをやらせるってめっちゃ難しい。
だから、
進路調査が来たら、
「僕のチームは誰と誰と誰と誰で、
誰々にはどこどこの大学、
誰々にはどこどこの大学、
誰々にはどこどこの大学に行ってもらって、
僕は東京大学を目指して、
チーム全体で偏差値300目指します。」
って書いたらいいと思うんですよ。
誰かに勉強させるのが難しいってことを知れば、
自分が勉強することって、
こんなに簡単なんやって気づけると思うんです。
勉強するのって全然難しくないんです。
いや、ほんとに。
そのことに気づけるいいきっかけになると思うので、
是非ゲームやってみてください。
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