今回は、
「THE TEAM」
という一冊について紹介させて頂きます。
本書は組織運営について書かれていますが、
非常に参考になる一冊だったので紹介させて頂きます。
チーム運営をされる立場にある方、
またはチームの一員として活動されている方、
様々な立場の人に役立つ一冊だと思いますので、
ぜひ手に取ってみてください。
概要
本書ではまず「チーム」を定義しています。
「チーム」とは、
一つの目的向かって、
協力し合う複数人から成る共同体、
です。
それに対して、
ただただ複数人が共同で作業している共同体は、
「グループ」であり、
目指すべき一つの目標を掲げる事によって、
「チーム」となる事が、
組織運営において重要であると述べられます。
チームを運営していく上でのステップは5段階で、
A:Aim(目標設定)
B:Boarding(人員選定)
C:Communication(意思疎通)
D:Decision(意思決定)
E:Engagement(共感創造)
のABCDEから構成されます。
「グループ」を「チーム」に変えるために、
まずAimから始まっていきますが、
5つのステップそれぞれで、
たくさんのポイントが詰まっています。
Aimでは、
目標設定において、
意義目標・成果目標・行動目標といった具合に、
様々な規模の目標を立てることが効果的です。
教会を作るレンガ積みの話は有名ですが、
教会を建てるためにレンガを積んでいる人に、
「あなたは何をしていますか」と質問した時、
「レンガを積んでいます(行動目標)」
「境界を建てています(成果目標)」
「町の人々の憩いの場を作っています(意義目標)」
と人によって返答が違ったというお話です。
目標設定の規模によって返答が異なってくるのですが、
どれが良くて、どれが悪いという訳ではありません。
意義目標を持っていれば、
何のために頑張るのかを強く意識することができ、
辛い時に自分を奮い立たせてくれます。
成果目標がある事で、
短期的な達成感を感じる事ができます。
意義目標だけだと、
たとえ教会ができたとしても、
それで確実に目標が達成できたという訳ではないので、
十分に達成感を得ることはできません。
行動目標がある事によって、
レンガを積むだけだったら、
こういう方法でレンガを積んでいった方が効率的じゃないか、
といった実用的な戦略が思いつくかもしれません。
こういったように、
様々な規模の目標設定がチーム運営では大切で、
それをチーム全員で共有することによって、
いいチームを編成していくことができるのです。
次に、Boardingでは、
チームを、
環境の変化度合い(高:X,低:x)・人材の連携度合い(高:Y,低:y)によって、
4つのグループに分類しています。
スポーツで言うと、
駅伝型(xy)・柔道団体戦型(Xy)・野球型(xY)・サッカー型(XY)に分類しています。
ビジネスでは、
メーカー工場の生産チーム(xy)
生命保険の営業チーム(Xy)
飲食業の店舗スタッフ(xY)
スマートフォンアプリの開発チーム(XY)
が例として挙げられていました。
詳細は割愛しますが、
チームのタイプによって、
どのような採用がいいのか、
多様性は必要なのか、
成果主義によるリストラは妥当なのかどうか、
といった様々な点で違いが見られます。
まずは自分が運営するチームは、
どのタイプに属するのか、
もしくは、
X, Yそれぞれどれくらいの値なのかを、
しっかり考える必要があります。
それを踏まえた上でどのように、
人員選定を行っていくのか、
方針を決めていきましょう。
チームにとって、
構成員は非常に重要な存在になるので、
Boardingについてはしっかりと考える必要があるでしょう。
Communicationでは、
人を、
モチベーションタイプで4タイプ、
ポータブルスキルで3タイプに分類して、
それぞれの特性を説明していくれています。
それを踏まえた上で、
それぞれの人に対する接し方を考えていく必要があります。
多くの人は、
他人と接する時に、
どうしても自分の価値観に沿って相手の受け取り方を想像してしまいますが、
物事の捉え方はタイプによって大きく異なるので、
相手のタイプを把握することと同時に、
自分のタイプをしっかりと認識することが、
重要であると述べられています。
近年は、
極力短いコミュニケーションが最善とされていますが、
短ければいいという訳ではなく、
相手の特性を踏まえた上で、
最善の文脈を加えながら、
相手に一番影響力を与えられるようなコミュニケーションをとる事を、
推奨してくれています。
Decisionでは、
意思決定をどのように行うのがベストなのかを、
独裁・多数決・合議の、
3つの選択肢の長所・短所から説明してくれています。
独裁は絶対にダメだと思われていますが、
近年の世界を席巻している企業の多くは、
著名な創業者が独裁的に意思決定を行いながら、
事業を成功させています。
日本では、
合議が素晴らしいという風潮がありますが、
合議では意思決定に時間がかかってしまうという、
大きなデメリットがあります。
それぞれの長所・短所を踏まえた上で、
何が最も重要なのかを考えて、
意思決定の方法を判断していくことが求められます。
Engagementでは、
どのようにみんなのモチベーションを高く保つのか、
モチベーションを科学すると題して、
方法を説明してくれています。
マーケティングでは、
Product(商品), Price(価格), Place(流通), Promotion(広告)の4Pが有名ですが、
エンゲージメントでは、
Philosophy(理念), Profession(活動), People(風土), Privilege(待遇)の4Pを、
提示しています。
年収やブランドといったPrivilegeによって、
人を動かしてきたこれまでですが、
それだけではなく、
やりがい:Philosophy、
達成感:Profession、
人間関係:People、
についても意識することで、
構成員のモチベーションを高く保つことができるのです。
全てのチームが、
全てを高く保たないといけないという訳ではなく、
商社のようなPrivilege重視、
ディズニーのようなPhilosophy重視、
マッキンゼーのようなProfession重視、
リクルートのようなPeople重視など、
どれかに特化するというのも戦略であり、
どのようなチームを目指しているのか、
チームのあるべき姿を描くことが大切です。
ABCDEについて一通り説明させて頂きましたが、
本書ではそれぞれについて、
例などを交えながら、
より分かりやすく、
より詳細に説明してくれているので、
是非手に取って、
時間をかけて読み込んで、
自分に落とし込んで頂ければと思います。
非常に参考になる一冊です。
是非自分が関わるチームの中で、
活かして頂ければと思います。
考察
独裁は本当に悪なのか
Decisionでは、
独裁・多数決・合議の3つの選択肢について考えますが、
独裁は本当に悪なのかという疑問を呈しています。
Decisionはどのような時に行われるのか。
例えば、
A,Bどちらかを選ばなければいけないという時に、
100点満点中、
Aなら100点、Bなら0点と分かっていたならば、
話し合わなくてもAと意思決定が行われます。
意思決定を行わないといけないのは、
Aなら51点、Bなら49点のように、
成果が均衡している場面です。
例えばこの場面で、
すぐに決断すれば、
Aで51点、Bで49点が取れたとしても、
決断が遅れれば、
Aで31点、Bで29点になってしまうとすれば、
A,Bどちらが正しいのかは重要ではなく、
意思決定を行う事自体が重要になってくることが分かります。
当然ですが、
決断ができなければ、
0点になってしまうのです。
こういった場面において、
独裁は必ずしも悪ではないですし、
たとえ独裁的にBという意思決定が行われたとしても、
Bを実現していく中で、
チームがポジティブに改善案を考えながら、
リバイスを加えていくことで、
60点だって、70点だって取る事はできると830は思います。
自分の意見と異なる意思決定が行われてからも、
ポジティブに活動していくためにも、
選択肢自体に意味がないという事を自覚しておく必要があります。
絶対的正解の選択肢があるわけではなく、
選択した選択肢を正解にするか否かしかないと、
830は考えています。
しかしながら、
自分の意見と違う意思決定を受け入れるのは、
やはり難しい事かと思いますが、
チームとして意義目標を共有できていれば、
意義目標を達成するための手段が望むものでなかったとしても、
問題ではないと切り替える事ができるのではないでしょうか。
過剰に意思決定に固執してしまうのは、
大きな規模の目標設定が不十分であることが考えられるので、
そのような時は、
一度チームの目標設定を確認してみてはいかがでしょうか。
問題が起きた時、
重要な意思決定が行われる時など、
イレギュラーな時に頼りになるのは意義目標です。
自己分析ワーク
自己分析が人生において重要であるというのは、
多くの記事で述べさせて頂いており、
自己分析の教科書として、
「メモの魔力」を紹介させて頂きました。
今回は、
チーム分析の手法として、
環境の変化度合い(高:X,低い:x)・人材の連携度合い(高:Y,低:y)を
考えるという本書の手法は非常に面白いなと思いました。
様々なチームでフレームワークを行い、
自分のチームについても、
自チーム分析すると、
非常に役立つかなと思います。
830のチームでも是非行ってみたいと思います。
また、
Communicationの所で紹介した、
モチベーションタイプで4タイプ、
ポータブルスキルで3タイプ、
についても考えてみるといいと思います。
自分で分析するだけではなく、
多くの人に自分のタイプについてアンケートを取って、
集計を取ってみると面白いかもしれません。
著者である、
麻野耕司さんの会社では、
企業のタイプの偏差値などを算出してくれるツールなども、
開発しているようなので、
是非伺ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は組織運営について書かれた、
麻野耕司著「THE TEAM」、
について紹介させて頂きました。
非常に参考になるエッセンスがたくさん詰め込まれているので、
是非是非手に取って頂ければと思います。
そして、
世界のチームを一つ一つ改善していって、
いい社会を作っていきましょう。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
P.S.
本書は本当に面白い一冊でした。
呼んでいる中で、
学校の先生がよく、
「受験は個人競技ではなく、クラスで戦うチーム戦だ。」
と言っているのを思い出しました。
しかし当時は、
あまりピンとこず、
それほどモチベーションも上がらなかった記憶があります。
では、
何が原因だったのか、
どのような発言にすればモチベーションに繋がったのか、
830なりに考えていると、
受験生でもできる、
受験生だからこそできるゲームを思い付きました。
多くの受験生は、
受験を真剣に考えすぎていることが原因で、
本番での緊張などにも繋がってしまっているのかなと思います。
受験を一つのゲームとして捉えるための、
チーム運営のゲームを考えました。
次回はそのゲームについて紹介しようと思います。
受験という人生をかけたゲームになるので、
とても刺激的で面白くなるのではないかなと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
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