今回も前回に引き続き「HELLO, DESIGN」について記事を書いていきます。
日本人が勘違いしてる「デザイン」の認識を、「デザイン」と「アート」の比較から明らかにしてくれました。自己の衝動から生じるものがアート、人間の課題から生じるものがデザイン。ビジネスを通して、人々の生活を豊かにしていくビジネスパーソンにとって「デザイン思考」は必須のスキルであると述べられています。
そして、おもてなし文化を育んできた日本人は、「デザイン思考」との相性が良く、すべての日本人に「デザイン思考」を身に付けてほしいと著者は語られています。
今回の記事では、その中でも830の印象に残った部分について考えてみようかなと思います。
目次
- 考察
- 主観の強度は「自分を信じる強さ」で決まる
- ユーザーを行動パターンに落とし込んでイメージする
- まとめ
考察
主観の強度は「自分を信じる強さ」で決まる
デザインを行う上で大切なものとして、マインドセットとスキルが挙げられていました。デザインのスキルについては、前回の記事の中で4つのステップに分解して紹介されました。著者が特に強調していたのはマインドセットです。自分の主観に自信を持っているか、「クリエイティブ・コンフィデンス」について言及されていました。また、それを身に付けるための方法として、楽観主義・初心者気分・助け合える環境・クリエイティブな行動を信じることの4つを提案してくれていました。
しかしながら、「クリエイティブ・コンフィデンス」を持つというのは非常に難しい事だと思います。特にデザインにおいて、「こうしてみたらどうですか」とか、「こういうのおもしろくないですか」とか、「こういうものが必要になると思います」といった意見って未来に関することばかりなので、不確定要素が多すぎる。ビジネスの世界ではどうしても客観的な数字や証拠を提示した上で、論理的な意思疎通が基本です。そういった意味で、未来に関する議論は性格が異なり、だからこそ多くのビジネスパーソンが地団駄を踏んでしまう部分になっています。たくさん勉強をして、論理的思考とか、説得力のあるプレゼンとかを身に付けたビジネスパーソンこそ悩んでしまう部分です。しっかりとデザイン思考を特有のものとして認識する必要があると830は感じました。
アイデアは、決して論理的思考やマーケティング、客観的な視点から生まれるものではありません。世の中を変えてきたすべてのアイデアは、誰かの「主観」から始まっている。自分の主観を信じるところから、イノベーションは生まれる。客観的な解の強度は「論拠の数」で決まりますが、主観による解の強度は「自分を信じる強さ」、つまり自信の強さで決まるのです。
「HELLO, DESIGN」 石川 俊祐
本書ではこのように書かれています。
デザイン思考というのは、論理的思考や人を納得させるプレゼン技術とは全くベクトルが違うのです。人を説得する時、理詰めで納得してもらうのか、熱意で共感してもらうのか、いろんな方法が存在することを認識し、時と場合で使い分けていくことが大切なのではないでしょうか。そして、「デザイン思考」という言葉は、この概念の理解を助けてくれるパワーワードであると830は感じました。
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