今回は「外来種は本当に悪者か?」という一冊を取り上げます。
本日から、「リーダーの教養書」で紹介されている書籍の中で気になったものを紹介していきます。
幅広い分野の書籍や考え方を発信していきたいと思いますので、読み進めて頂けますと幸いです。
目次
- 外来種は本当に悪者か
- 真犯人
- まとめ
外来種は本当に悪者か
本書では外来種と在来種の様々な事例を紹介しています。外来種と聞くと830は動物や魚などをイメージが強いのですが、植物についての事例が多かったのが意外でした。
外来種は生態系を損ない、在来種を絶滅を危機させてしまうことが問題視され、忌み嫌われています。外来種の侵入によって生物の多様性が損なわれてしまうと。学者やUNEPといった国際機関の中でもそういった見解が根強く、外来種撲滅のために多額の資金が投入されてきました。
著者はこの考え方に異を唱えています。外来種の侵入によって在来種が絶滅した例は多々見られます。しかし、外来種が生態系に順応したケース、外来種が在来種の住処を提供し共存するケース、外来種と在来種の交雑によって新たな個体が誕生するケースなどもあり、外来種の侵入を簡単に多様性の減少と結びつけることはできません。
どうして外来種に悪いイメージがついてしまったのか。
生物を尊重する生物学者の多くは、もとより在来種の絶滅を問題視した上で研究行うため、外来種が問題を引き起こしたケースに着目することが相対的に多くなる。その研究結果が外来種の悪いイメージを作り上げたのではと書かれています。
また、外来種の侵入による被害総額を試算する場合において、外来種の侵入による被害総額だけが計算され、外来種による恩恵を考慮に入れないことも問題視しています。例えば、ネズミ駆除のために連れてこられたウサギが繁殖し、畑を荒らしたというケースを考える。被害総額を試算する中では、畑の被害だけを計上し、ネズミを駆除したという恩恵を計上しない場合が多々あるのだそうです。これによって誇張された被害総額だけがメディアに取り上げられ、外来種は悪者扱いされてしまう。
生物の多様性についても、在来種の絶滅の頻繁に取り上げられるものの、新たな種の誕生は軽視されがちである。実際に外来種の侵入が生物の多様性にプラス・マイナスどちらの影響を与えているのかを正確に試算することは難しい。しかしながら、著者の調査によると、やはり現状出回っているデータは外来種が悪者になるデータに偏ってしまっていると言わざるを得ないそうです。
「外来種は本当に悪者なのか」著者は疑問を投げかけています。
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