今回から、山口周著「ニュータイプの時代」を紹介させて頂きます。
本書では、時代の変化に伴って変わる、求められる人材像について書かれています。
これまでの時代で求められていたオールドタイプと、これからの時代に求められるニュータイプを比較しながら論が進められていきます。
洞察に富んだ一冊で、新しく気付かされることも多いのではないでしょう。
自分が時代の流れについていけているのか、この一冊を通して確認してみてはいかがでしょうか。
- 問題解決能力過剰時代
- 本物のイノベーター
- まとめ
問題解決能力過剰時代
私たちの社会ではこれまで「問題を解ける人」が高く評価されてきました。なぜなら「問題」は豊富にあり、それが解ければ何らかの豊かさを生み出したからです。
しかし、「問題解決の能力」は今後、どんどん低価格化が進み、供給過剰の状況になる一方で、当の「問題」は見つけることが難しくなっています。このような社会にあっては、「問題を解ける人=オールドタイプ」よりも「問題を発見し、提起できる人=ニュータイプ」こそが評価されることになります。そして、そのためのカギとなるのが「社会や人間のあるべき姿を構想する力」だということになります。
時代の流れの中で見られる大きなパラダイムシフトの一つに、問題の総量に関する考え方の変化が挙げられます。
これまでは問題がたくさんあって、その問題を解決するために、論理的思考などのスキルやMBAといった資格が重宝されてきました。しかし、今の世界は何不自由なく生活することができるようになり、問題が圧倒的に少なくなっている。そういった中で、問題解決能力の価値が下がってきてしまっているのです。
では、どんな能力が求められているのか。それは、問題提起能力です。
誰も気付けていない、潜在的な問題を見つけ、どのように解決していけばいいのかを構想していく。そういう能力が求められているのです。普段何気なく生活していると当たり前に思えるようなことでも、これは社会として正しいことなのだろうかと疑問を投げかけることができるかどうかが重要です。
若者はネット通販でなんでも買い物をして、家の前まで商品が運ばれてきます。一方で、お年寄りの方は、毎日スーパーに買い物に行って、ただでさえおぼつかない足取りで、いくつものレジ袋を抱えて帰路につく。こんな社会で本当にいいのだろうか。ネットに明るい若者をマーケティングして行くだけで本当にいいのでしょうか。
社会は、人間はどうあるべきなのか、本質を考える必要があるようです。そのためには、たくさんの教養を身に付け、社会とは何なのか、人間とは何なのかをまず考えられるようにならないといけない。生物進化論や人類史、経済学や経営学など、問題提起能力を身に付けるためにはたくさんの知識が必要です。
これからの時代は、幅広く興味を持ち、勉強し、視野を広げていくことが求められていくでしょう。