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「ニュータイプの時代」のすすめ_3

今回は「ニュータイプの時代」の最終回として、興味深いデータをもとに、未来予測と上下関係について考えてみましょう。
これから求められる未来の考え方、上下関係の在り方について、ぜひ考えてみてください。


目次
  • 専門家の未来予測
  • 機長の方が副操縦士よりも事故率が高い
  • まとめ

専門家の未来予測

1984年に経済誌「エコノミスト」は、今後10年の経済成長率、インフレ率、為替レート、石油価格、その他基本的な経済数値を、様々な立場にある合計16人の人物に予測してもらう、という実験を行いました。その16人とはすなわち、4人が元財務大臣、4人が多国籍企業の経営者、4人がオックスフォード大学の経済学専攻の学生、そして最後の4人が清掃作業員でした。
10年後、同誌が結果を検証したところ、結果は一様に惨憺たるものでしたが、あえて優劣をつければ、1位は同着で清掃作業員と企業経営者、ビリは元財務大臣という結果でした

過去についての知識や専門用語については、当然専門家の方が詳しいだろう。
しかし、こと未来予測に関していうと、専門家も素人も大きな差はないという研究結果はいくつも見られるようです。いずれの予測も結果は惨憺たるものになると。

この研究を行ったフィリップ・テトロックは皮肉的にこのように表現している。
専門家といわれる人の予測は、ダーツを投げるチンパンジーにも負けただろう

この結果からわかることは、未来予測に意味がないということです。
これまでのデータから、未来を論理的に説明することはできない。未来予測に論理は全くは役立たないのだ。

では、未来についてはどのように考えればいいのか。
本書では、未来を予測することには意味がなくて、ニュータイプは未来を構想すると述べられています。
現状を見つめ、問題を発見し、それを解決することで、「未来はこうなっていないといけない」と構想し、そうなるように問題解決に全力を尽くす。未来はこうあるべきだと強く思えれば思えるほど、今を必死に生きることができる。
「未来はこうなるだろう」ではなくて、「未来はこうあるべきだ」と、自分の哲学によって未来を構想することが大切なのである。これを可能にするためにも、教養を磨き、自分なりの哲学を作り上げることが不可欠だ

機長の方が副操縦士よりも事故率が高い

通常、旅客機では機長と副操縦士が職務を分担してフライトします。もちろん、一般的には操縦技術や状況判断能力の面で機長の方が副操縦士より格段に優れています。しかし、過去の航空機事故の統計を確認すれば、副操縦士が操縦桿を握っている時よりも、機長自身が操縦桿を握っているときの方が、はるかに墜落事故が起こりやすいことがわかっています。

副操縦士が運転している時、機長は副操縦士にミスがないか常に気を張っているだろう。何か問題が起きた時、副操縦士は機長に真っ先に相談し、機長も副操縦士も必死に頭をフル回転させる。
一方で、機長が運転している時、副操縦士は自分の仕事は終わったと油断しているかもしれない。問題が起きた時、機長は自分よりも知識の少ない副操縦士に相談しにくいかもしれない。機長が分からないことは自分にも分からないと、副操縦士は無責任になるかもしれない。結局、副操縦士が運転しているときよりも、効率よく二人の頭を回転させることはできない可能性が高いのだ。

コックピットにおけるこの二人の関係を、最小単位のチームととらえることができる。チームにおいて起こりうる問題を提起してくれる。上下関係が引き起こしうる問題だ。

上下関係は必要かとこれまでも疑問を提示してきたが、改めて説明しておこう。
上下関係があると、下の人は上の人に意見が言いにくくなる。上の人は下の人の意見が取り入れにくくなる。
このコックピットの問題でも正にこの現象を確認することができる。データで出ているのだ

しかしながら、現状として上下関係は世の中にはびこっている。では、どう考えていけばいいのか。
オールドタイプ:肩書や立場に応じて、振る舞いを変える
ニュータイプ:肩書や立場に関係なく、フラットに振る舞う
上下関係が蔓延する世界の中で、それを無くしていくことは難しい。一人一人が責任感もって、上下関係なんか無視して、活動していかないといけないのだ。
特に、830たち若者が、既存の上下関係の中で下に位置づけられる830たちが、指示待ち人間になるのではなく、問題意識を持って自発的に動いていかないといけないのだ。なんでもかんでも上の人に教えてもらうのではなく、分からないことは自分で調べて実力をつけていかないといけない。ペコペコするんじゃなくて、ズバズバ物申していかないといけない。

権威ではなく「問題意識」で行動する

まとめ

誰がそういったか、をたずねないで、
いわれていることは何か、に心も用いなさい。

トマス・ア・ケンピス『キリストにならいて』

「文句を言うなら、実績を出してから言え」
こう叱責されたことがないでしょうか。あたかももっともな意見を言っているように聞こえます。
しかし、この考え方はオールドタイプそのものです。
「私は何を言っているかなんかどうでもいい。誰が言っているかしか考えていないんだ」と宣言しているようなものです。「権威のある人の意見しか俺は聞き入れないぞ」と。
本当に大切なのは、誰が言ったかではなくて、何を言ったかその発言そのものになのに。

「文句を言うなら、実績を出してから言え」
こういう考え方に染まってしまっている人は多いのではないでしょうか。意見を聞き入れる立場の人だけではなく、意見を出す立場の人も。「自分なんか何も分からないから」「自分の専門じゃないから」と意見を出せない人が多いのではないでしょうか。

830も新入社員として部署に配属されれば、このように感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、何も知らないからこそ、新規的な意見が出せるかもしれない。何も知らないから、何も実績がないから意見してはいけないなんてことは絶対にない。意見が出せないなら存在していないのと同じだ。
自分の哲学に従って、おかしいと思ったことは指摘しないといけないし、こうした方がいいと思うことは提案しないといけない。恐れずに発言しよう。思ったことをすぐ口に出す。それが830の長所だと思っています。


あとがき

今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
本記事はあくまで830の主観を織り交ぜた上で、書籍の紹介をさせて頂いております。書籍との食い違いが生じてしまっている場合もございます。ご理解頂けますと幸いです。
正確な情報については、是非原本をご購入の上、お読み頂けますよう宜しくお願い致します。
今後も宜しくお願い致します。